2018/10/02
【夢へのスパイス】シリーズ第一話。
(導入はこちらをご覧ください)
今回からは実際に【料理】に使った【調味料】をご紹介したいと思います♪
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Contents
調味料その1 ペースクロック
【ペースクロック】と聞いて???となる方も多いかと思います。
ペースクロックとは、プールに行ったことがある人なら一度は見たことがあるであろう、これ↓のことです
プールサイドに置いてある、いわゆる秒針時計。
日本ではほとんどのプールに置いてあると思います。
まず初めに、このペースクロックの具体的な使い方についてご説明したいと思います。
私が今までやってきた競泳の練習は大抵『距離、本数、持ち時間、内容』の、大きく分けて4つの要素が元となって組まれたメニューでした。
例えば、
『50mを10本 、1分サークル、 MAX!』
といった形です。
日本では、というより、競泳の練習は全般的にこういった形で組まれていることがほとんどだと思います。
(もしかしたら違う形もあるかもしれませんが、私は存じ上げません…少なくとも私は、小さい頃から引退するまでずっと、このような練習を行なってきました)
で、ミソとなるのがこの『サークル』ってところ。
はじめに『持ち時間』と書いたところですね。
つまり、一本目のスタートを0として、二本目は1分後にスタートし、三本目は2分後、四本目は3分後にスタートする…
といったような形です。
だから、速く泳げば休みは沢山あるし、逆にゆっくり泳いだら休みは少ししかない、ということです。
この『サークル』、練習の強度の決め手です。
一般的にサークルが短い方がきつく、長い方が楽です。
あえて短いサークルを設けて、そのサークルに間に合うように泳ぐ、といったショートレストという練習もあります。
(私は大っ嫌いでしたw)
で、このサークルを見る時に使うのがこのペースクロック。
上記の『50mを10本 、1分サークル、 MAX!』といった練習の場合、一本目を60からスタートしたら、二本目は一周回った60から、つまり1分後からスタート、といったように練習が進められます。
ちゃんと理解できれば、選手たちが自分たちだけで練習に取り組むことができます。
お分かりいただけたでしょうか。
そうです、カンボジアには、このペースクロックがないのです。
だから、先ほどご説明した『サークル』の概念が全くなかったのです!!
いつも休み(レスト)が沢山。
コーチがストップウォッチを持って笛を吹かないとスタートしない。
自分がどれくらいのタイムで泳いでるかわからない…
ペースクロックがなくても練習出来ないわけではありません。
コーチがいて、その人が笛を吹いてスタートの合図を出し続ければ、ショートレストだって可能です。
しかし、コーチの身からしてみると、
20人以上の選手のスタートの合図を出すことに精一杯、しかも、私のチーム、18歳の選手から8歳の選手までいるんです。
レベルが違いすぎるから、当然『同じサークル』は出来ません。
もっと選手の泳ぎをみたいのに、、、なんていうのが本音です。
やはり練習可能であるとは言えども、これ以上のレベルアップを目指すためには必要不可欠なものです。
買うことしか考えてなかった私を変えた出来事
赴任当初から、水泳隊員のOBの方からアドバイスを頂き、携行機材費というJICAのお金を使って、ペースクロックを買ってもらうように申請しようと考えていました。
ただ、カンボジアで買えるものではないから難しいかもしれないとのこと。
申請が通ったとしても、物が届くまでにはとても時間がかかってしまう…。
どうするべきかと色々と彷徨っているとき、カウンターパートの友人であり、日本の筑波大学で教授をなさっている山口先生とお会いする機会がありました。
ポロっとその話を漏らしたところ、山口先生の口から驚くべき言葉が。
“ペースクロックね、作れるよ!”
その時の私のテンション、
まままままじすか!!!!!!!って感じ笑
山口先生流ペースクロックの作り方
1.時計を分解してモーターを取り外す
2.秒針を延長する
3.板に数字を書く
4.板に穴を開けて、裏にモーターを取り付け、表から秒針を取り付ける
5.完成
話を聞くところでは、そこまで難しくなさそう。
父の影響で小さい頃から工作は大好きだし、何より世界にたったひとつのペースクロックができる!ってことが嬉しくて。
カンボジアでも作れる!
カンボジアのプールサイドにペースクロックがくる!!
それも、“他者”からの支援ではなく、自分の手で、手に入れることができる!!
“ペースクロックは作れる”という、知らなかった知識を取り入れた私は、これはまさに【夢へのスパイス】であると感じ取りました。
自らの手で、ここにあるもので作る。
それはまさに【工夫】以外の何物でもありませんでした。
【カンボジア水泳界を強くする】ために【練習をする】
そして、その効率と強度を上げるために【ペースクロックを作る】!!
単純な私は、すぐに実行したい気持ちに駆られ、とりあえず自腹で材料を購入し、サンプルを作ることに。
ウキウキ、ワクワク度、MAXです。
ペースクロック サンプル作成
とりあえず原理だけ実物をみて理解するために、時計と針金、ドライバーを買って、時計を分解。
意外と簡単にモーター外れる。
で、秒針以外の針を取り除いて、秒針に針金をつけて延長させる。
ふむふむ、、、いけそう、、、、
、、、じゃなかった笑
ちっちゃな時計だった為、モーター自体にパワーがなく、秒針を延長させると重さで秒針が動かない。
なるほど、強いモーターと、出来るだけ軽い秒針延長用の素材が必要だな、、、。
でも原理は理解できた。よしっ、これで作れるぞ!
ペースクロック 材料調達
山口先生と電話で相談して、基盤となる板はホワイトボードにすることに。
市場で見つけた大きめの時計を購入。
この分針が長くて軽くて使えそうだったため、延長用素材はこれで決まり。
モーター取り付けるために板に穴をあけるのは、いつも事務所の修理にくるあのおじちゃんにお願いしよう!
壊れても、そして私がいなくなってもまた水泳連盟のみんなだけで新しいものが作れるように、作り方をいろんな人にみせて覚えてもらおう!
いろんな計画を頭に入れて、いざ、ペースクロック作りスタート!
立ちはだかる壁
勢い任せで始まったペースクロック作り。
ただし早々に壁にぶつかります。
1 針の延長
時計を分解してモーターを取り外して、秒針の延長。
これがやはり至難の技でした。
長さを測って、セロテープで仮止め。
そして机の端にモーターを置いて、
ストップウォッチを手に。
電池をセットし、スタート!
10秒…
20秒…
30秒…
さぁここから上り坂…頑張れ…
40秒…
よし順調……
50秒…
あ…あやうい…
52秒…
ぴゅーーーーーーーん
(重さに耐えられず逆回りを始める)
……うおおおおおおーーーーー!!!泣
これを何セット繰り返したことでしょうか。笑
途中一人で【何やってんだ】って思いかけ、いや、違う、これはれっきとした協力隊活動だと、心の中で言い聞かせ…笑
事務所で一人、うわーーーもおーーーー!!!とか叫んでたら、外にいた選手が驚いて部屋に駆け込んできたり。笑笑
そして、選手に見られながら、また少し秒針を短くセットして0からスタート…
隣で選手が40秒過ぎあたりから必死で秒針の応援してました。笑
60に到達したとき、二人でハイタッチ!
いやーあの達成感、半端なかったわ笑
2 センスの無さ
モーターが完成したところで、次は基盤となる板作り。
数字を書いていきます。
……
センスなさすぎ!!!泣
22年間、嫌というほど見続けてきたペースクロックなのに、大きくする数字を間違えるという失態。笑
うん、まーそれっぽいし、いっか!笑
3 穴が開けられない
さぁ、あとは穴を開けて取り付けるだけ!
おじちゃんにお願いしよう!
…と思ったら。
よく見たら、ホワイトボードが厚くてモーターの真ん中部分(秒針取り付けるとこ)が外に出ない!
ここまできてなんだこの凡ミス!!!
自分のバカ!アホ!ドジ!マヌケ!!
と、泣きそうになりました。笑
テープか接着剤で表に付けるか、、、
など、色々考えていましたが、あまりいい案が思い付かず、救世主の山口先生にまた連絡。
“ホワイトボードで磁石がくっつくなら、モーターの裏にマグネットつければいいんじゃない?”
神様 仏様 山口先生(ノД`)・゜・。泣
早速マグネットシートを買って、切り取って、モーターに接着。
そして…
できたああああああ!!!!!!
しっかり動く!
秒数のズレもない!!
世界にたったひとつのペースクロックが完成しました!!!
プールサイドに置いてもいい感じ♪
わーーーーこれでさらに練習追い込めるーーー!!!
短すぎる生涯 引き継がれる思い
その日から嬉しくて毎日使いました(^^)
やらなければならない大きなタスクがひとつ減って、選手の泳ぎもじっくり観察出来るし、いいこと尽くし!
今まで日本で何気なく毎日使ってたけど、この時計がこんなに便利なものだったとは……。
全てが順調に思えました。
しかし、悪夢は突然訪れます…
そう、あれはたしか、風の強い日でした。
練習の途中、指導に夢中になり、隣にあったペースクロックにトンっとぶつかってしまいました。
その瞬間。
ぽちゃん。(モーター水没)
………うぎゃあああああああああああ
響き渡る悲鳴
驚く選手
そして
物凄い反射神経でプールに潜りモーターを救出する選手
……必死の救命活動も虚しく、
一瞬にしてモーターはお亡くなりになりました。
か弱い磁石は重たいモーターを支えることが出来ず、ぶつかった衝撃でポロっとあっけなく取れてしまったのです。
電池を変えたらまだ生きてるかも…
と、急いで変えの電池を取りに行く。
私の心拍数MAX。
頼む…生きててくれ…!!!!
…思い、届かず。
二週間、短すぎる命でした。
ありがとう。
君との思い出は忘れないよ。
もう何をしても動かないガラクタと化してしまったモーター。
しかし思い入れが強すぎて、私はその子をゴミ箱に捨てることは出来なかった…。
私にとって必要不可欠の存在となっていたモーターくん。
あなたがいなくなってしまった心の穴を埋めるべく、私は次の日に、あなたの代わりとなる新しいモーターを求め、街へと出掛けた。
(続く)
コメント
さきちー
秒針の反対側におもりつけてバランス取れるようにするんだよ!!
ちなみにペースクロック発明したのウチの水泳部らしいよ。
by たおかか 2016-08-31 3:04 PM
たおかかさん、コメントありがとう!!返信遅くなってゴメンナサイ(´・ω・`)
反対側に?! 新たなアイデアだ~!試してみます!! ありがとう!!
by 生山咲 2016-09-20 12:47 PM
笑っちゃいけないんやろうけど、おもしろかったです!
読みながらすっごい応援してしまった!!!!笑
私も、ないものは作ること意識して3月から頑張ります!
勉強になりました~!続き楽しみにしてます!
by Yukichi 2016-09-01 1:51 PM
Yukichiさん、コメントありがとうございます(^^)
返信遅くなりすみません。。。
続編楽しみにしていてくださいね~(*^^*)諦めずにがんばります☆
by 生山咲 2016-09-20 12:48 PM
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by Kiersten 2016-09-14 4:49 AM
Thanks!
by 生山咲 2016-09-20 12:49 PM